
車高調整とトレッド拡大
PROLOGUE
K11マーチは1995-2008の14年間所有した。
時の首相 麻生太郎氏の政策により、車齢13年以上でエコカーに乗り換えると補助金を25万支給されるのを機にHVへ乗り換えたが、それが無ければもっと乗っていたかもしれない。フジミからは輸出仕様の「MICRA」、1Lの「iz-f」1.3Lの「A#」、トミーカイラ「STAGE Ⅰ」、「STAGE Ⅱ」、そしてこの「NISMO」がラインナップされていたが、後期型としてライト回りなどの意匠が変わった際に金型が改変されて以降絶版となった。いずれのバージョンも組み立てたことがあるが、園児だった愚息のミニカー遊び用に抜擢されてすべて廃車となり、残っているのはケースに入れてあった「改造Cabrioret」のみである。
2024年末に車体の金型を新造しての再販となり購入した。
ニスモのワイドトレッドバージョンを再現

ニスモの雑誌広告の切り抜き
この写真を元にオーバーフェンダーをスクラッチしてワイドバージョンを作る。
スペックではフロント+30mm、リヤ+40mm(いずれも片側)のトレッド拡大で、キットはスペーサーなどの誤魔化しではなく、アームやホーシングを延長するガチのワイドトレッドキットである。
再現は実車スペックの縮尺にはこだわらず、雰囲気重視で片側2~3.5mm程度拡大予定
車高調整とトレッド拡大
QC NO.7 車高・トレッド調整準備

仮組での簡単な計測だが、トレッド拡大は、
フロント片側+2.5mm
リヤ片側+3.5mm
とした。
車高は、かなりアバウトに、残っていたカブリオレを参考にして手持ちのプラシートの厚みを考慮して
フロントー1.2mm
リヤー0.5mm
とする。

ネットの情報収集では、ストラットを切り詰めて車高を下げる人がほとんどだが、トレッドも拡大するのでストラットは触らず、ストラットの取り付け位置と高さを変えることにする。
取付位置を下げ穴を空け直すため、フェンダーの天端を切り取る

フロントは嵩上げ1.2mm、リヤは0.5mmのシートの帯を貼り、この上から1.2mmのシートでで蓋をする。
QC NO.8 フロントサスペンションの調整

フロントは元の穴から2.5mm外側にピンバイスで1.6Φの穴をあける
QC NO.8 ロアアーム延長

ロアアームを延長する。
幅を合わせた1.2mmのプラシートをロアアームの下側に貼り付けることで車高を下げる分を同時に調整できる。穴の位置を確認しやすいよう2.5mm幅の線をけがいて1.5Φのピンバイスで穴あけ
QC NO.9 ステアリングロッド延長

余ったパーツのジャンクの中から合いそうな太さのランナーを見つけステアリングロッドを5mm延長する。接着剤が染みて張り付かないよう下にクリアファイルを敷いてまずタミヤセメントで止めた後、タミヤ瞬間接着剤(イージーサンディング)で補強した。板シャーシのアイスクリームバーのようなロッドと違って実車に寄せた形状は良いのだが、あまりにも華奢で強度が心配。
QC. NO.10 リヤサスペンションの調整

リヤは0.5mmのプラシートを挟んだ天端に元の穴より3.5mm外側にピンバイスで1.6Φの穴を開ける。
QC. NO.11 ホーシングの延長

実車のニスモのトレッド拡大キットのホーシングはハブの根元が溶接により延長されているが、強度に不安があり、ホーシングの中央を延長することにした。段ができたが1.2mmのプラシートで突き合わせて接着、裏から0.5mmのプラシートで補強、上から見える段は0.3のプラシートで埋めたが、組み上げると見えないので余分な作業かもしれない。

自分のせいか?はたまた開封後に取り扱いが雑だったのか、気づけばテンションロッドが片側欠損、実車さながらにこのテンションロッドがホーシングの前後位置を支えているので再生は必至
ホーシング側と、タミヤの1mm角棒を四角く切ったものにピンバイスで0.5Φの穴をあけ0.5の真鍮線を差し込んで一応再生した。0.8Φくらいの棒があればベストだったが手持ちが無かったので妥協
車高調整とトレッド拡大の仮組

概ね狙い通りの形になった。
実車のリヤはスプリングとショックアブソーバーが別体で、やや構造が違うが大きく形を崩さず調整できた。実車ではホーシングの中央で延長すると車体のスプリング受けの位置をずらす加工が必要になるのでNISMOのキットはハブの根元が延長されたと推測する。
オーバーフェンダーの都合で先にバンパーを固定したためボディとシャーシの脱着に難があり、タイヤとサスペンションは最後に組み付ける。
余談
このキットではリヤブレーキがディスクとなっている。
では、実車はどうだったかというと、前期のABS付きが4輪ディスク、その他はリーディングトレーディング、後期(1997.5~)になるとデュアルエアバッグとABSが全準装備となり以降の4輪ディスクは廃されている。
前期までのABSはすべてのグレードでオプション(+¥75,000)、1Lのi・zセーフティパッケージ仕様車にのみ標準という構成だった。安全性の観点からエアバッグとABSが標準装備になる過渡期で前期のABSが4輪ともディスクになっているのはブレーキのコントロール関する技術的な問題だったのではないかというのが一説である。
